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  稔幸 退団記者会見 一問一答    
010506


稔幸
稔幸  皆様、本日はお忙しい中、お集まりくださりありがとうございました。いま無事に東京公演の千秋楽を迎えて、正直ほっとしています。今回は、相手役の星奈優里、同期の朋舞花をはじめ退団者が八名もいましたので、サヨナラショーも、ごあいさつのほうもとても長々とやっておりました。その間に、自分の思っていることもまとまっていき、思い残すことはないなというのが、いまの心境です。「あっ、終わった」という感じの、その一言につきます。

退団記者会見に臨んだ稔幸=5月6日午後6時29分 東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場


−−きょう、白馬で劇場入りされたのは?

稔幸  東京公演というのは本拠地の宝塚の劇場とちがい、東京という街の限られた区域の中で公演をしているじゃないですか。宝塚では、ファンの人たちも(劇場の)入りや出のとき、お手紙を受け取ったりコミュニケーションをとることができるのですが、東京では人口とかも違いますし、ファンの人が寂しい思いをしているのも事実だったと思うんですね。宝塚ならではの華やかな入りと出で、今回は特に「ベルサイユのばら」という作品でもありましたので、何か華やかな趣向を凝らすことができたら、いままで長い間、応援してくださった方々にもお返しができるのではないかと。いろいろ考えたのですが、たまたま馬に乗ることが好きだったものですから、馬が使えるのではないかと思って。いろいろな方に相談して実現しました。

−−最後の衣装を黒燕尾にされた理由と、白いばらを選ばれた理由を

稔幸  白いばらというのは、演じているオスカルという役を通して私の中にあるイメージでもありましたし、もともと白い花が好きと「宝塚おとめ」にも書いていましたから。黒燕尾というのは、男役の制服だと思っております。今回は本公演の中で一度もその姿をご披露していないので、ぜひにと黒燕尾にしました。

−−十六年間の宝塚の生活を振り返ってみて、改めて感想を

稔幸  組長の読んでくださったメッセージにもあったのですが、宝塚を知らずに入ってしまって、その都度その都度、いろいろなものと闘って、とくに自分自身と闘ってきたような気がします。ですから、くじけてしまいそうなこともありましたけれど、その中で、私を見にきてくださったファンの方々、いろいろご指導してくださった先生方のおかげでこれたんだなということを、退団発表してから身にしみて感じるようになりました。ある時期から自分にしかできない男役をつくっていきたいなあというのが、十六年の中で生まれてきました。こうして華やかにサヨナラ公演ができたということが私にとっての集大成だと思い、今とても幸せに思っています。

退団記者会見に臨んだ稔幸=5月6日午後6時29分 東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場


−−退団後の活動は

稔幸  私はとても欲張りな人間なのであれもこれもしたいのですが、おそらく芸能活 動は、いっさいいたしません。

−−ほかに、やりたいことが?

稔幸  はい、いっぱいあります。たとえば、お仕事というのではないんですが、趣味の域でずっと絵を描きつづけていましたので、自分の思う自由な発想で絵を描きつづけていきたいなと思います。油絵、水彩もパステルも全部やります。

−−きょう、寿退団をされた方もいらっしゃいましたが

稔幸 そうですね。いつか見ていろ、おれだって!

−−現在のところは

稔幸 現在は宝塚の男役一筋なもので、申し訳ございません。

−−いままで男役で短い髪でしたが、退団されたあとの髪型は

稔幸 ぜひ、シャンプーのコマーシャルに出られるぐらい長くしたいなあと。根性で伸ばしてみようかなと思っております。宝塚受験前はずっと長かったので、はい。

−−星奈さんとは、何か話ましたか

稔幸 星奈とは本当にツーカーの仲という感じなので、お互いに多くの言葉を交わさなくても分かりあっていると思います。本当に、何かを言ったということはないですね。本公演の最後のデュエットダンスのときのせり下がりでも、二人でげらげら笑っていたり、とても明るくすごしていました。

−−チケットが入手困難なぐらいの熱気に包まれていましたが、「ベルサイユのばら」をやる前と、後で思いは変わりましたか

稔幸 何でしょうね。もちろん、どの公演でもやる前とやり終わった後では気持が違うと思うのですが、これほど前評判があり、自分たちがやる前からいろいろなことが分かっていて求められるものが多くて、実際、幕が開いたときのお客さまの集中度も感じたこともなかったので、そういった意味でも、宝塚にとって「ベルサイユのばら」というのは特別な作品なんだなと改めて感じました。ただ、それで浮き足だってしまうのではなく、日々演じていくことによって、「ベルサイユのばら」の中にある素敵なメッセージや、演じることの心地よさとを、逆に演じながら感じられたこともよかったなと思っています。想像以上のものをこの「ベルサイユのばら」から私自身いただけましたし、いままで応援してくださったファンの方からもそういうお声をいっぱいいただいています。

−−このあと、「風と共に去りぬ」で全国ツアーをなさいます。宝塚の名作にまた挑まれますね

稔幸 これでやり残すことは何もないわねって言ってくださるほどで、宝塚オンチだった私が、これほど宝塚どっぷりの作品で辞めていけるというのは、すごいめぐり あわせだと思いますし、感謝して幸せに思って精いっぱい演じたいと思います。

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