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星組 稔幸 サヨナラパレード
君は心の白ばらか    
010506 田窪桜子


 宝塚歌劇団の星組トップスター、稔幸が六日、東京・日比谷の東京宝塚劇場でのサヨナラ公演を終え、劇場前などにかけつけた約八千人のファンに別れを告げた。

白いばらを抱えてファンに手を振る稔幸=5月6日、東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場前(撮影・内藤博)


 稔は昭和六十年、「愛あれば命は永遠に」で初舞台。

 平成十一年、星組トップスターとなり、正統派二枚目男役として活躍した。

 宝塚大劇場公演「ベルサイユのばら2001-オスカルとアンドレ編」の千秋楽(十月一日)で退団する。

 稔はこの日の昼、なんと本物の白馬にまたがって劇場入りし、ファンを大喜びさせた。

 公演終了後の、サヨナラ公演千秋楽だけの特別ショーである「サヨナラショー」(写真はこちら)開幕に先立ち、組長の英真なおきが稔のメッセージを読み上げると、客席から大きな拍手がわき起こった。

白いばらを抱えてファンに手を振る稔幸=5月6日、東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場前(撮影・内藤博)


 そして、サヨナラショーで稔は「花の業平」「我が愛は山の彼方に」「エリザベート」など出演作品の主題歌などを披露。フィナーレの大階段には黒燕尾服で登場し、星組メンバー、同期生代表として駆けつけたOGで女優の鮎ゆうきから白いバラの花束を贈られた。

 稔は次のようにあいさつし、客席に頭を下げた。

退団記者会見でこたえる稔幸=5月6日午後6時29分 東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場(撮影・内藤博)
 昨年、退団発表してから、“稔幸”としてピリオドを打つ十月一日まで何ができるか、どんなことができるかずっと考えてきたような気がします。

 毎日毎日、一日一日がとても貴重で、一カ月が一年というほどの重みを感じるほどでした。

 そして、卒業公演となった『ベルサイユのばら2001』でこの劇場を初めて踏み、三人のアンドレとの共演、オスカルという大役をこなすことで退団という二文字の実感をなくしていたように思います。

 毎日毎日、とても充実していて楽しくて幸せで。

 でも、気づきました。十月一日までがんばって前進していくことも大切だけど、過ぎゆく一つ一つにきっちりとお別れをしなければいけないんだなと。この劇場で出会った劇場関係者やスタッフ、オーケストラの皆様、本当にありがとうございました。そして何より客席から私たちを見守ってくださり、私の夢であった、ここに立ちたいという夢をかなえてくださったファンのみなさま。ここに立っているのもみなさまのおかげです。本当に本当にありがとうございました。

 十月一日まで前進し続けていきますが、次に星組がこの劇場にやってきますのは十一月、私の“忘れ形見”となった『花の業平』とショーです。香寿たつきが私の跡を継いで、星組のトップとなってくれます。彼女も大変なことがいっぱいあると思いますが、みなさん、どうか彼女をそして新しい星組を支えてあげてください。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。



 終演後は、劇場前に集まったファンの前に姿を現し、白きばらひとつ…の「ベルサイユのばら」にふさわしく、白いバラを手にパレード、歓声を浴びながら劇場を後にした。

 なお、十月一日には娘役トップの星奈優里も退団する。星奈はこの日、次のようにあいさつした。

 「十四年前、二階の、本当に後ろの、本当に端っこの席で初めて宝塚を見ました。この舞台に立ちたいな、毎日この舞台に立てたらどんなにいいだろうと思っていました。そしていま、私はここに立っています。本当に幸せです。この気持ちを忘れずに十月一日まで舞台に立ちたとい思います。この一瞬をご一緒に過ごしてくださったすべての皆様、本当にありがとうございました」

ファンに手を振る星奈優里=5月6日、東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場前(撮影・内藤博)


 ほかに男役の大洋あゆ夢がこの日を最後に退団。

 十月一日には娘役トップの星奈優里のほか、稔と同期の娘役・朋舞花、男役・九城彬、娘役・原美笛、男役・水瀬あお、男役・雪路歌帆が退団する。

白いばらを抱えてファンに手を振る稔幸=5月6日、東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場前(撮影・内藤博)


矢印退団記者会見はこちら

矢印退団メッセージはこちら


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