命名者は宝塚OGでシャンソン界の大御所、深緑夏代という。
「スポーツ紙の記者だった叔父の紹介で、音楽学校を受験する半年前ぐらいから歌を習っただけの不肖の弟子なんです。“夏”をいただいたので、芸名に恥ずかしくないようにと思ってきました」
花組をまとめる組長で、バリバリの男役。それが現在、宝塚大劇場で公演中の「エリザベート」(11月18日まで)では、皇太后ゾフィーという女役の大役を、迫力満点に演じている。
「宮廷でただ1人の男だ」といわれ、宮廷のすべてを仕切っているきびしい母親の役だが、男役が演じるのは初めてだ。
「もう、びっくりしました。女役は昔、一度だけやったことはありますが、何もかも戸惑うことばかり。とくに声は高い音もウラ声も出したことがなくて、最初はハーともスーとも出なかった。毎日、3時間前に楽屋入りして発声練習を続けています。改めて娘役さんはすごいと思いますね。ただ私は男役が大好きですし、女役はゾフィーでまっとうさせていただきます」
今回はトップの春野寿美礼はお披露目、娘役トップの大鳥れいは退団の公演になる。組長としては「春野はどんどん大きくなっていて、頭の下がる思いです。大鳥は娘役として最高に育ったエネルギーを発散している。今しかない1日1日の舞台を、みんなで力を合わせて作っていくことを心がけています」とか。(by 平松澄子)