||途中別の仕事で失敗。でも…
恋心にブレーキをかけながら新吉を支え続けるお園。2人は豊志賀の死後、再会する。そんなふびんなお園をかばう場面も。
「お園は新吉から根付けの鈴をもらいます。思わず監督に『こんな男性ずるい!』とくってかかりました。好きでもない女の人に贈り物をする。これが新吉のずるいところ」
笑いながら、鋭い指摘をする。
「新吉は、ただ相手に優しくしたい、という気持ちが先行してしまう人なのです。本能でだれにでも優しくできてしまうんですね」
暗闇のお堂の下に隠れた新吉を、小雨のなか、お園が見つける場面がある。
「実際に『雨がふるぞー』という天候で、空ではゴロゴローと雷が鳴っていました。そんな中での『用意、スタート』。雨から逃れるように、騒ぎながらの撮影でした。ちょうど撮影が終わったら雨がザーッ」
身ぶりも交え、撮影裏話を説明する。生き生きとした語り。まるで物語の朗読を聞いているようだ。
裏話といえば、こんな失敗談も教えてくれた。
「撮影は6月から9月終わりにかけてでした。途中、休みがあって私別の仕事で海外へ。帰国してから後半の撮影が始まったのですが、(日焼けしたので)前半と同じ化粧をしたら肌がグレーに見えるようになってしまったのです」
化粧の色を変えてことなきを得た。
その海外での仕事というのは、昨秋NHKで放送されたドキュメンタリー特集「千の風になって」の撮影だった。ニューヨーク、シアトル、ロンドン、アイルランドなどを巡り、事故で愛する人を失った遺族と語らい、悲しみや絶望を乗り越える姿、命の重みなどを詩のルーツとともに追い求めた。
「その経験から人間として大きく成長した私で(撮影の)後半戦はに臨んだんですよ。肌の色も“成長”しちゃったのですけれど!」
“日本を代表する薄幸美人”は、インタビューをユーモアで結んだ。