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まちと劇場(1)
あうるすぽっと 池袋らしい個性を発信
9月11日(火) 東京朝刊 by 柳谷昇子
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東京に新劇場が続々とオープンする。今月、東池袋に「あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)」が誕生し、11月には日比谷に「シアタークリエ」、来春は赤坂に「赤坂ACTシアター」が完成。地域の文化や客層を考慮した演目でのぞむ各劇場の取り組みをピックアップする。まずは池袋から−。

小劇場ながらゆったりとした空間が快適な「あうるすぽっと」
小劇場ながらゆったりとした空間が快適な「あうるすぽっと」


“演劇の街・池袋”の新拠点を目指すのは、10日にオープンした「あうるすぽっと」(301席)。東池袋駅直結、池袋駅東口からグリーン大通りを直進して徒歩8分、都電荒川線東池袋四丁目駅から徒歩2分という立地にある。

「池袋には劇場はたくさんあるのですが、意外に認識されていない」とは、あうるすぽっとの小沼知子広報担当。

なるほど、豊島区には大小の劇場が点在している=地図。一般には繁華街のイメージが強いが、実は演劇人にはおなじみの街。各劇場を使って毎年9月に行われている「池袋演劇祭」は19回目を迎えた今年も盛り上がっている。

ただ、一般的な知名度となると、まだまだで、乗り換えに伴う池袋利用歴20年以上になる筆者も、恥ずかしながら存在さえ知らなかった劇場もある。中でも池袋から、あうるすぽっとに向かうグリーン大通りは、「大通り」のわりには賑わっているとはいえないのが現状という。

「今後は質の高い芝居で認知度を高めつつ、新たな人の流れを生み出し、芸術・文化による街作りの推進運動を活性化させていきたい」(小沼広報担当)

20日からこけら落とし公演が始まる。“愛・人生・家族・死生観”をテーマに老若男女を問わず楽しめる4演目が用意された。第1弾はミュージカル「ハロルド&モード」(30日まで)。老婦人と若者の風変わりなロマンチックコメディーで、ミュージカル版は日本初演となる。

第2弾は初代総理大臣、伊藤博文のロマンス劇「駅・ターミナル」(10月4?14日)。そして、夫婦の情愛を描く「海と日傘」(10月30日?11月11日)、ある華族一家の崩壊を描いた三島由紀夫原作「朱雀家の滅亡」(12月4?16日)と続く。

あうるすぽっとは主催制作公演、タイアップ事業、貸しホールという3本柱で運営。劇場は来年11月公演分まで埋まっている状態という。

ヲザキ浩実プロデューサーは「単なる貸し小屋ではなく、発進力をもつことが、地域の中のアートセンターとしての役割を果たす。スタッフの教育育成なども公共劇場としてのミッションの1つ。自主・提携公演、人材育成などはどこの劇場も柱にしていますが、街の環境で個性も違ってくる。(同じ公立でも)公民館や公会堂といった位置づけではない部分で、根気強く個性を確立していきたい」と話す。

池袋劇場地図

劇場名は、池袋と縁が深いふくろうの英語名「owl(アウル)」に「逢い集う」という意味を重ね、舞台芸術を中心に人と文化が出合う場所(スポット)になってほしいとの願いをこめて命名された。新たなにぎわいを創出できるか、注目される。

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