11月、日比谷にオープンする「シアタークリエ」(611席)は、東宝本社ビルの建て替えに伴い平成17年3月、約半世紀の歴史に幕を下ろした芸術座に代わる新劇場だ。
劇場は地上18階の新ビルの地下3階から地上1階部分。劇場名は「シアター クリエーション」を略した造語で、「レクリエーション(娯楽)」という意味も込めている。
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専用劇場でロングラン公演を行う「ブルーマングループ」 |
「芸術座の名前を引き継ぐかどうか、議論になったが、新しい名前で出発すべきという意見が多かった。新しい発想で時代のニーズに応えていきたい」と高井英幸社長。
増田憲義・専務取締役は「伝統を引き継ぎつつ、あらゆる決まりごとから自由になって、洋の東西を問わず古典から新作、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く上演していきたい」と話す。
女性の観客が多いことから、スタッフを女性でかため“女性に手厚い劇場”を意識しているのも特色の一つ。三谷幸喜演出「恐れを知らぬ川上音二郎一座」で開幕し、森光子主演「放浪記」、ミュージカル「レベッカ」「RENT」などのラインアップでのぞむ。
近隣の東京宝塚劇場、日生劇場、帝国劇場などを含め、日比谷に足を運ぶ女性たちの新たなスポットになりそうだ。
一方、専用劇場を新設するのは、米国発のパフォーマンス集団「ブルーマングループ」。12月、東京・六本木に専用劇場「インボイス劇場」(900席)が誕生する。
出演者は顔から体まで青く塗った“ブルーマン”。セリフは一切なく、廃材のような小道具を楽器にしたユニークなサウンドと、鮮やかなカラーインクなどを使った異色のパフォーマンスを繰り広げる。
現在、世界8都市でロングラン公演を行っており、アジア初となる日本公演は1年を目標に上演予定。本場ニューヨークでは200席ほどの小劇場から始まり人気に火がついたが、日本では900席で挑む。
「ブルーマンは、1500席のところでやった実績もある。場所の大きさは別に、人間と人間のコミュニケーションという哲学は変わらない。原点のよさと、進化するブルーマンのよさを考え合わせると、900席は理想」と安倍寧エグゼクティブプロデューサー。
「ブルーマンのメンバーはよく、かっこいいという意味で『COOL(クール)』という言葉を使いますが、六本木はまさにクーレストプレイス。日本にも米ブロードウェーや英ウエストエンドのように、どこか1カ所に劇場が集中している−というのがいいですね」(安倍エグゼクティブプロデューサー)
ライブ感あふれる劇場でのパフォーマンスの前後には、飲食やショッピングなど街も楽しめる−。そんな機会が増えそうだ。