来年3月、東京・赤坂にTBSがプロデュース運営する「赤坂ACTシアター」(約1300席)が新設される。オフィスやホテル、飲食店が集中する“大人の街・赤坂”から、テレビ局運営ならではの多彩なライブエンターテインメントの発信を目指す。
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新劇場「赤坂ACTシアター」とライブハウス「赤坂BLITZ」の完成予想図 |
TBS(港区赤坂)は放送センターに隣接する約1万坪の敷地で複合再開発計画を進めている。住宅棟、オフィス・商業棟の間に、文化施設棟としてACTシアターとライブハウス「赤坂BLITZ」が建設中だ。
ACTシアターの原型は、平成7年に劇団四季がオープンした「赤坂ミュージカル劇場」。11年の閉館にともないTBSが四季から譲受し翌年、赤坂ACTシアターとしてリニューアルオープンした。15年、赤坂新開発のため、隣設のBLITZとともに閉館。来年3月の新オープンで腰を落ち着けることになる。
ウリの1つはアクセスの良さ。東京メトロ千代田線赤坂駅直結となり、丸の内、銀座、南北、半蔵門の各線もより駅からいずれも徒歩10分圏内と利便がいい。
こけら落としには宮本亜門演出の祝祭音楽劇「トゥーランドット」が決まったほか、コンサートやダンス、演劇、ミュージカル、バレエ、歌舞伎などジャンルの幅広さが特徴で、劇場機構の多様さを示している。
「コンピューター化、電動化など最新の設備であることが最善ではない。仮設だったときの経験とリサーチをふまえ、バラエティーに富んだ演目への対応性を考えた」とTBSの河出洋一プロデューサー。
隣接するBLITZはライブハウスだけに20、30代が核になると予想される。ACTシアターは大人の男女が主なターゲットだ。自主・共同企画と貸し館の2分運営を理想に、「限定はしませんが、都会で働く男女が気軽に足を運べるような、特に男性から見ても興味のある企画を打ち出したい」という。
全国の視聴者を対象とするテレビと、限られた人数のための劇場は対極にあるものの、「1300席の人だけに理解されればいいというわけではなく、幅広い層に楽しんでもらえるエンターテインメントライブを発信するのもテレビ局の一つの使命」と言い切る。
テレビ局ならではの宣伝戦略の奏功も明らかだ。「テレビ番組や映画に関心をもつのと同じように『今度、ACTシアターでこういうことをやるらしい』と話題のネタになってほしい」
新しい劇場を見てみようか?。そんな興味が、ライブ空間の醍醐味を味わうきっかけの一つになり、劇場がもっと身近な存在になるのかもしれない。