小説「阪急電車」の舞台を歩く
恋の始発は宝塚駅!
2008/4/4
産経新聞大阪夕刊
歩いた日はレースの開催日だった。悲喜こもごもの歓声やどよめきを予想していたが、競馬場から県道まで少し距離があるためか、風向きのせいか、全く聞こえてこない。拍子抜けしながら先を急いだ。
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宝塚ホテル |
学生の乗り降りが多い甲東園駅、厄よけ祈願の寺として知られる東光寺(門戸厄神(もんどやくじん))、への玄関口となる門戸厄神駅、終着点の西宮北口駅までは、物語を思い浮かべながら線路沿いの道をひたすら南下した。
昼過ぎにスタートして約5時間でゴール。小説では、ほぼ半年後の設定で折り返しの物語も描かれているが、てくてく隊員の“物語”はここまで。半年後に折り返しのルートを歩くことは…、たぶんない。
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小林駅のツバメ 「阪急電車」で、構内にツバメが巣を作る『いい駅』として描かれている小林駅には、ツバメの巣が実在する。小説に書かれた、ツバメの糞受けのための『逆さ吊(つ)りの傘』を確認しようと、後日、同駅近くのスーパーを訪ねた。軒先に傘は見当たらなかったが、小説に登場する警備員のモデルに遭遇した。その男性、岡野義人さん(56)は「顔見知りの買い物客から『本に出てたわよ』と声をかけられることがあります」と笑顔を浮かべた。いま傘がないのは、ツバメのシーズンには早いため。あと1カ月もすると、名物の傘がお目見えする。
阪神競馬場 日本中央競馬会(JRA)の競馬場。所在地は兵庫県宝塚市。右回り競馬場で国内最長の1周2089メートル(芝外回り)を有し、GIでは桜花賞(今年は4月13日)、宝塚記念などが行われる。同県西宮市にあった鳴尾競馬場がルーツで、戦後の昭和24年に現在地に移転。平成7年の阪神大震災で芝、ダートのコースに亀裂が入るなど大きな被害が出た。平成17年4月から18年11月までコース改修などの工事が行われた。
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