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衣装デザイナー 任田幾英に聞く
(4)デザイン画 今も手書きで
10月4日(水) 東京朝刊 by 田窪桜子
−−入団後はどんな勉強を?
任田幾英 当時はコピーがないので、先輩のデザイン画から帽子や上着などパーツを書き写すのが仕事でした。それを持って衣装部や小道具さんに注文を出すのですが、「こんな絵で作れるか」と怒られて怖くてね。小西松茂先生という大御所がいらして、とても絵が上手で、ものすごく勉強になりましたね。

−−今はデザイン画の書き方も変わっています
任田 パソコンを使い、色を塗り替えるのも一瞬です。でも、ぼくは手書きしかできません。何色も混ぜて色を探し出しす。その時間が大切なのです。そして実際の明かりにデザイン画を当てて色を確認する。パソコンの画面で作る色とは違うと思います。

−−衣装作りのシステムも変わりましたか
任田 日本物の着物は変わらず、染めも織りも京都に注文しています。ドレスなど洋物は昔は宝塚歌劇団で作っていましたが、今は技術指導しながら中国に発注するようになりました。最近はジーンズのストレッチ素材など新素材が開発されていますが中国にはまだないので、そこが難しいところですね。日本での生地探しは大阪や京都、神戸の問屋を昔と変わらず足で探し回っていますよ。

−−アクセサリーなどは?
任田 イヤリングやネックレスなどを作る外国人の職人さんがいなくなったので、スターのもの以外は出演者が自分たちで工夫しています。最近は舞台を映像化することが増えたので、アップに耐えられるよう細工が細かくなりましたね。かつては劇場が大きいのでボタンや金具も大き目に作っていたのですが、カメラで撮ると雑に見えるのです。

−−ほかには?
任田 メークも変わってきていますよ。青いアイシャドーをしっかり塗るのが減り、日本物の白塗りもナチュラルな化粧法になってきています。メークが変わると衣装も変わります。舞台衣装は、スターがスターらしくて輝くのを打ち消してはダメなのです。役作りを助け、動いてきれいなことが大事ですから。

−−これまで、着こなしのうまかったスターは?
任田 それはツレちゃん(鳳蘭)ですね。多くの人は「ああして、こう直して」と言うけど、鳳さんは「好きにやっていいで。何でも着こなしてあげるから」って。それはもう見事でしたね。娘役では八汐路まりさんの着こなしがよかった。最近は出演者の身長も高くなり、顔が小さく手足も長くなった。以前は短足をどう衣装で隠そうかなど、体形をカバーするのも課題でしたが、今は自分のイメージのデザインをそのまま作り上げられることが多くなりました。


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ここは宝塚記事のページです

(1)舞台衣装はメッセージ
(2)パリでひとめぼれ
(3)こだわりが独自の世界生む
(4)デザイン画 今も手書きで
(5)新しい様式美 追い続けたい


PROFILE
とおだ・いくえい 昭和14年大阪市生まれ。桃山学院大経済学部卒業後、昭和40年パリに遊学しファッションを学ぶ。翌年帰国し宝塚歌劇団に入団。42年、「アディオ・アモーレ」で衣装デザイナーとしてデビュー。これまで宝塚大劇場285作、バウホール157作、その他28作にかかわった。「ウエストサイド物語」、「凱旋門」、「ベルサイユのばら」「レヴュー誕生」などジャンルを問わず活躍している。