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雪組「エリザベート」制作発表
会見一問一答 スタッフ編
1月10日(水)
10日行われた宝塚歌劇雪組「エリザベート」制作発表におけるスタッフ側の会見内容一問一答は以下のとおり。

小林公一(宝塚歌劇団理事長)
小林公一理事長宝塚の「エリザベート」は、1996年に雪組から始まりまして、2005年の月組まで5組で公演させていただきました。その間に東宝版、こんどは本場ウィーン版と、「エリザベート」は日本のミュージカルの中に定着したと思っています。

宝塚についてはもう一度雪組がやることになりまして、宝塚歌劇の「エリザベート」の魅力をさらに引き出していければと思っています。水、白羽のトート、エリザベートがどのように演じるか。雪組の新しい「エリザベート」がみなさまにどのように興奮をお届けできるか。ご期待いただければ。多くのお客さまに見ていただき、喜んでいただけますように、われわれは一丸となってがんばっていきたいと思っています。

栗山道義(協賛企業である三井住友カード取締役会長)
私どもは96年の初演から全組に協賛をさせていただいています。ほかにも東宝版、こんどのウィーン版にも協賛をさせていただき、日本における「エリザベート」全12回をパーフェクトに協賛させていただいています。大変光栄に思っています。今回の公演はトップおふたりのお披露目公演。期間中には700回に達するといい、大変おめでたい公演だと思っています。

栗山道義会長 ウィーン版のDVDを拝見しましたが、ドイツ語の歌声は力強くてテンポがよくて、迫力があってすばらしい。これを女性ばかりでやる宝塚版がこのように大成功を収めたのはすばらしいことです。「死」というものと美の極致であるトップスターとを重ね合わせて、耽美で幽玄で、これぞまさに愛と死の輪舞。これを作り上げられた小池(修一郎)先生をはじめ、宝塚のスターのみなさんの才能と努力に改めて感銘を受けました。

5組それぞれ常に新しいエリザベートに挑戦して成功された。今回、さっそうと水もしたたる水夏希さんと気品あるマリー・アントワネットを見事に演じられた白羽ゆりさん。小池マジックでどのように変身されるのか大変楽しみにしておりまして、また、大きく飛躍されることを願っておるわけです。新生雪組のみなさんの熱演を期待するとともに、ぜひ、格段のご支援をお願い申し上げます。

シルベスター・リーヴァイ(作曲家)
シルベスター・リーヴァイコンニチワ、オゲンキデスカ? 10年前に初めて来日した際に初めて宝塚の公演を拝見しました。日本を初めて経験しただけでなく、演劇的な意味でも新しい体験でした。あのとき以来宝塚の方々と親しくさせていただいてます。すべての組の公演を拝見しましたが、女性が男性を演じる違いだけではなく、日本の演劇の伝統を知る機会にもなりました。

今回の作品もみなさんを感激させると信じています。各組の公演をみてそれぞれのすばしらしさを感じたので、今回もすばらしいに決まっています。この公演の成功の理由は小池演出にあります。東宝版の演出でも小池さんにお願いしたのもそのためです。作曲担当者としてふたつのことを申し上げます。ひとつ、今回の作品がすばらしい成功を収めますように。つぎに報道陣の興味の高さに感謝します。アリガトウゴザイマス。

−−宝塚版ならはでの魅力と水夏希の魅力をそれぞれ
リーヴァイ
まず、ナツミズキさんの…失礼しました! 水夏希さんの魅力について。こうした記者会見の席で自信をもって振る舞われるのはすばらしい。舞台装置が整った際に彼女が登場することのすばらしさは簡単に想像できます。

水さんは私どもの宣伝用コンサートにいらっしゃって、その後、トートの役について話しました。私たちは(ウィーン版の)マテ・カマラスのような役作りは水さんにはできないと伝えました。宝塚でのトートの表現の仕方はオリジナル版とは違う、と。

宝塚版とオリジナル、東宝版は同じ歴史の話を伝えているが、別の伝統に基づいて語り伝えられています。宝塚は別の伝統をもっているのだから違ったものになると思っています。

日本のお客様は宝塚版の後に東宝版をごらんいただけばそのことが分かりやすいのではないかと思っています。宝塚版は、オリジナル版をごらんいただくことによって、その魅力がより理解していただけるだろうと思っています。

−−これだけ日本で愛される理由は?
リーヴァイ
これほどの作品になるとは夢にも思わなかったですね。ウィーンの初日に(初演の雪組でトートを演じた)一路真輝がやってきて、「感激した」といってくれました。そのことを聞いていたので、希望をもって日本にやってきましたが、これほどの大成功になっているとは思ってもいなかった。

宝塚の作品はの成功と東宝での成功は段階的な成功です。これだけの段階的成功をなしえたのは小池さんにまじめに受け取っていただけたからでしょう。ご想像ください。ひとつの作品が成功すると次は期待される。成功を継続させるのがいかに難しいか。高い質を守り続けることは、ほんとうにたいへん。重圧があります。そういう意味で日本のみなさまの努力には欧州人として学ぶことが多いです。アリガトウゴザイマス。

小池修一郎(演出家)
小池修一郎13年前の「エリザベート」最初の記者発表の当時、タカラジェンヌに変な化粧をさせないでくださいと怒られた記憶がございます。まだこの作品が浸透していなかったので説明してもピンとこなかったということだと思います。

今日にいたりましては、水夏希がどんな髪の色か。どんな服で現れるのかということを楽しんでいただくというか、期待していただけるところまで、公演そのものが浸透したことに年月の重みを感じます。

同時にそこまでみなさんに作品が受け入れられたのはリーヴァイさんの音楽の魅力だろうと。日本人のセンチメントといいますか、感受性によく合っていたんだと思います。

それとこの物語がもつ歴史ロマンとしての側面と耽美的な要素とかすべてがうまくかみ合って、宝塚という土壌でそれがうまくひとつの花を咲かせたのでしょう。

今回はついにウィーン版が来日いしたます。その公演とほとんど連続で上演されることになり、くしき因縁というか、みなさまがオリジナル版との比較を楽しんでいただくことは怖いことでもありますけれど、半面、日本で宝塚というひとつのはっきりとした特色をもった団体の「エリザベート」を確立させたことで、ウィーンからのみなさんを多少、落ち着いてお迎えできます。

お客さまにとっては、その違いを楽しむ、それぞれの特性を見てその比較もまた楽しいんじゃないかな。そのときに、宝塚として恥じないように。宝塚歌劇のエリザベートが100%出せるように私たちはがんばってまいりたいと思います。

−−新しい演出や変更点は?
小池
基本的にスタイルが定まっている作品なので新場面などは考えていません。過去5回の公演で証明されているように、この作品は人の心に映る「死」の存在を描くので、それぞれの男役が歴代、存在意識を問う形で作ってきています。そこでおのずと作品のカラーが変わってきています。

今回は水夏希という、ミステリアスだけどパワフルな存在が、どういう「死」を表現するか。あでやかだけど生命力のある白羽ゆりのエリザベートがどう拮抗するかで作品の見え方が変わると思っています。彼らの演技を通して新たな何かを見いだしてほしいなと思います。

−−これだけ日本で愛される理由は?
小池
いつも思うのですけれど、なんでこんなにみなさまがきてくださるのか。作品がもつ歴史ロマン的な側面とその中で人間の内面を同時に描く。そのために「死」という存在を出してきて、かつそれを魅力的な存在として描く。原作の台本の最初に書いてあるのですけれど、トートは現代のロックスターのように両性具有的であると。これこそ宝塚で継続して上演できている理由。要するに宝塚の男役スターにマッチしている。

もうひとつ歴史ロマンということで思ったのは、宝塚歌劇の歴史の中での戦後のヒット作に「虞美人」という作品があります。昭和28年に上演して当時ものすごい数のお客さまを集めて、何度も上演され、最後は昭和44年、60周年記念の作品として上演されておりました。それは中国の王朝が終わる物語。王朝が滅び、そのきっかけに美女がいる。皇帝と后がともに亡くなる。

「ベルサイユのばら」はブルボン王朝の最後、ルイ6世とマリー・アントワネットもやはり断頭台にのぼる。王朝の終焉と国を滅ぼすきっかけとなった美女。エリザベートは直接国を滅ぼしてはいないのですが、「ベルサイユのばら」にも架空の人物で両性具有的人物としてオスカルというキャラクターがございましたが、「エリザベート」にはトートがいる。そのへんが宝塚歌劇として受け入れられる要因であったかなと思います。






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