花論星論
星への階
トップスターへのステップ−安蘭けいと77期生の場合−
by 演劇コラムニスト 石井啓夫
[3]ファンに見えるルール 必要
安蘭は、けっして「遅咲き」でも「大器晩成型」のスターではない。汀夏子に次いで首席入団生として2人目のトップスターとなったエリートである。入団後も同期中もっとも注目され、実際もスター街道を歩んできた。
むしろ、朝海の方が1998年の宙組誕生時に花組から異動したあたりから急上昇した(スター性は秘めていたものの)抜擢トップスターである。
先行していたスターがそのままゴールしないのも、この世界の習わしだ。裁定が多分に「謎」なのも、わたしは芸能という分野の「神秘性」で、それは仕方がないモノと考える。
しかし、ルール、長年、歌劇の中で培われ、目標とされてきたステップは踏襲されなければならないのではないか。「異例」は、恒常化しないからこそ「異例」なのであって、その恩恵を被ったスターはそれ故に栄光という名誉を刻めるのだ。
新公主役があくまで、まずトップへの第1ハードルという目標は残して欲しい。逆に、その過程の中で新公主役を逃した生徒にも、朝海のようなコースも歩めるのだという希望も朝海によってもたらされた。
が、朝海型はそう度々、現れるものではないだろう。その点を考えると、安蘭がよくぞここまで我慢していてくれたことを、わたしは賛美する。事情はあれ、安蘭が歩んだコースこそ、「スター誕生」への順当な過程なのだとわたしは信じる。
朝海は、06年にすでに退団、春野も本年末を持って退団を発表した。安蘭はトップに就任したばかり。同期生でありながら、随分時間差が出てしまったが、トップへの階段にはファンがやはり目安にできるルールが絶対とは言わぬまでも存在していることが、もっとも安心でき納得できることではないだろうか。
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