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花論星論 
星への階  トップスターへのステップ−安蘭けいと77期生の場合−
    by 演劇コラムニスト 石井啓夫
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[2]快速、鈍行、臨時…
要するに、安蘭、春野、朝海。同期生3人のトップ就任の在り方が、今後のトップスターへのステップにどう影響するか、という問いとわたしの懸念である。

まず、新公主役が、従来通り、若手男役にとってトップへのステップであり続けるのか。3人のステップを比べてみよう。新公主役を初めて経験したのは、安蘭が研5で『JFK』(雪組)、以降3回。春野が研6で『ハゥ・トゥ・サクシード』(花組、霧矢大夢=現月組=とダブル主演)、以降2回。朝海は無し。

参考までに、やはり同期の成瀬こうき(既に退団)は研5で『ハードボイルド エッグ』(月組)を含め4回と安蘭と同数、主役を経験している。

バウ主演では、安蘭が研8で『ICARUS』(雪組)、春野は『冬物語』(花組)、朝海は『SAY IT AGAIN』(雪組、複数主演)でそれぞれ研9で主演した。先述したトップへのステップでいえば、ここまでの過程では、電車にたとえれば、安蘭と春野は「快速急行」の歩みに見える。

「男役10年」などとよく言われるが、60周年以降でその例に適うのは、安奈淳(研6)、鳳蘭、天海祐希、汀夏子(以上研7)の「特急」と研10、11で就任した大地真央から姿月あさとまでが「急行」で、春野や朝海が就任する研12、そして13、4あたりが今では「快速」と呼ばれようか。

しかし、「快速」のペースで順調に段階を経て歩んだのは、春野だけで、もっとも「快速」のペースだった安蘭は、にわかにペースを落としてしまった。

その間、2002年に春野、朝海は相次いで2番手となり、春野は実質1度だけ2番手を経験して同年、『エリザベート』で花組のトップを極め、朝海も翌03年『春麗の淡き光りに』で雪組の頂点に立った。

安蘭が実質的に2番手になったのは03年である。その後、実力者としてトップを支え続けこんにちに至った過程は、トップへの習いからすれば、「鈍行電車」になってしまったと言わざるを得ない。

では、3人の過程を分かったモノは何か。その時点での組事情が大きな要因だろう。

有力な上級生スターがひしめいていれば、出番が遅れる。射程にいたスターがそれぞれの理由から退団して、突然視野が開ける場合もある。安蘭は多分に前者の要因が影響したに違いないし、春野は後者(匠ひびきの病気、休演など)の例だ。

では、朝海の場合をどう評価するか。先の2人に比べ、新公主役も未経験で、単独バウ主演を果たしたのは、01年『アンナ・カレーニナ』(雪組)の研11の時。が、その前年に雪組本公演『凱旋門』で役替わり公演ながら、当時の主演スター轟悠の役を演じる実績を果たした。そして一気に2番手、トップと飛翔してしまった。

それこそ、同期生としてスタート時点では、安蘭、春野の「快速」に比して「鈍行」レールだったのが、安蘭がペースダウンしているうちに春野に追いつき、まさに「臨時」というか「特別」というかの「快速電車」に変化した。

この朝海のパターンを、あくまで「臨時」であり「特別」である異例と見るか、今後もこうしたトップへのステップもあるという前例と見るかで、これからの新人たちの気持ちのありようも変わってこよう。

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