The name of タカラジェンヌII
野々すみ花 小さくてもいいからやさしい花
大阪夕刊 by 平松澄子

「野に咲く花のように、雨が降っても風が吹いても、地面に根を張って、小さくてもいいからやさしい花に見えるように」。そんな意味を込めて、本名を生かしながら、最終的には家族で決めたという。
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大役の抜擢(ばってき)が続いている新進娘役。宝塚バウホールで上演中の「舞姫」では、初めてのヒロイン役に体当たりしている(25日まで)。文豪・森鴎外の名作のミュージカル化で、主演の愛音羽麗演じる日本人のエリート留学生・太田豊太郎と恋に落ちる、貧しいドイツ娘の踊り子・エリス役だ。
「エリスは真っ白なイメージ。一から役を作っていくのは初めてなので、いっぱい壁にぶち当たっています。悲恋物語ですが原作とは結末が少し変わって、きれいな宝塚版になっています」。大きく見える堂々とした舞台姿とは違って、消え入りそうな声でポツリポツリと話してくれた。
物心がつく前から父親に、「お前は宝塚に入るんだ」と洗脳されて、6歳からクラシックバレエとピアノを習った。高校1年のときに音楽学校を受験して、1発合格。「私自身も宝塚は大好きで、ここに行くしかないと思っていました」
初舞台は花組の「
マラケシュ・紅の墓標」。そのまま花組に配属になり、「
落陽のパレルモ」(平成17年)の少年ヴィットリオ、「
ファントム」(18年)の少年ファントムと、トップの春野寿美礼が演じる主役の幼年時代の役が続いた。
娘役で初めての大きな役は18年バウ公演「スカウト」のジェンカ役。そして今年は「
明智小五郎の事件簿・黒蜥蜴」で、本公演では誘拐される令嬢の早苗役、新人公演では初ヒロインで犯人役の黒蜥蜴に大抜擢されて、度胸のいい演技で好演した。
「舞台に出るまでは不安と焦りで周りが見えない状態。黒蜥蜴役はこれまでの宝塚の娘役とは違うイメージで楽しかった。娘役としては相手役さんを理解して合わせられるようになりたい。あこがれは
花總まりさん(元宙組)です」
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