●●●雪組・貴城けい(平成4年入団) 自らの12年凝縮の年に
初舞台、勉強のための組回り、そして最初の組配属もすべて雪組。純粋の“雪組っ子”が入団13年目にして、初めてほかの組に出演する。
「あえて溶けこもうと考えなくても、宝塚はひとつ。そんなに心配はしていないんですよ。それに、違う場から学び吸収することは多い。一緒にお芝居をしたことがない相手からは、新鮮なものが生まれるでしょうし、新たな自分をお見せしたいですね」という。
そして、「同期と芝居ができるのがうれしい」と笑みがこぼれた。数少なくなった同期だが月組では瀬奈じゅん、大空祐飛(おおぞら・ゆうひ)、星組では檀(だん)れい、紫蘭(しらん)ますみと共演する(関連記事:瀬奈じゅんに聞く)。
「今までの12年を凝縮した1年になるのではと自分でも期待しているんです。年末に雪組に帰ったとき、『大きくなったなあ』と思ってもらえるようにしたいです」
90周年を迎え、あらためて今年1年の目標を聞いてみた。
「90年はあまりに重みがありすぎて、言葉にできないですね。伝統ある中、今の自分が与えられた役割をどうまっとうするか。歌や踊りがうまくなりたいだけじゃだめ。伝統的な男役に、時代のニーズをどう加えるか自分でしっかり意識しておかないと。目標は、感謝の気持ちや人への思いやりを忘れず自分を磨くことかな。役の中にも、普段の自分の生活がにじみ出ると思うので」
●●●星組・安蘭けい(平成3年入団) 心の余裕持って舞台に
日生劇場「雨に唄えば」(関連記事:雨に唄えば)主演、「王家に捧ぐ歌」で女役に挑戦、バウ公演「巌流」に主演−と昨年はフル活躍だった。さらに今年は15日から宙(そら)組に出演する。
「昨年は自分なりにやってきて、やっただけの自信がついたと思えるので、今年は自分を信じて、得たものをいい形で舞台に出していきたい」と意欲的に話す。
宙組「白昼の稲妻」(関連記事:東京公演始まる)では悪役に挑戦する。次の「ファントム」はガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」が題材だ。宙組は主演コンビの和央(わお)ようか、花總(はなふさ)まりをはじめ、雪組時代に一緒だったメンバーも数多い。
「悪役は初めてなんですよ。お客さまが石を投げたくなるぐらい、とことん悪くしようとか、役作りをどうするか考えてます。宙組は若い組なので新しいスタイルも出せると思う。メンバーは懐かしい人も多いですね。特に美郷真也(みさと・まや)さんと雪組で一緒だったのに芝居でからんだことがないんです。今度はずっと一緒に舞台に出ている役なので、心強いし楽しみです」
90周年を締めくくるのは所属する星組だ。
「“特出”で逆に星組のいいところも見えると思うし、新鮮な気持ちで帰れると思います。昨年は周りをちゃんと見る余裕がなかったと思うんです。今年は、いろんな物に目を向け冷静に見つめられるよう、心の余裕を持って臨みます」
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