宝塚・宙組の『ベルサイユのばら2001−フェルゼンとマリー・アントワネット編』(植田紳爾脚本・演出、谷正純演出)が、やっと東京にきた。ベテラン、中堅、若手がみごとに噛みあって、すてきな舞台を創っていた。
スウェーデンの伯爵フェルゼン(和央ようか)=写真右=は、ルイ王朝のベルサイユ宮にあって、孤独だった。十四歳のときオーストリアから十六世の王妃となるためにこの王宮にきたマリー・アントワネット(花總まり)=同左=は、フェルゼンの気持がわかり、声をかけたことから、二人はかなわぬ恋に悩むことになった。女の身で王妃を守る近衛隊長となったオスカル(彩輝直、二十四日から水夏希)は、ひそかにフェルゼンを慕いながら、王妃をスキャンダルから守るため彼に帰国するようすすめ、さらに自分をひそかに慕ってくれていたアンドレ(水夏希、二十四日から彩輝直)の愛を受けいれる。だがそのあと、二人はフランス革命の嵐の中、市民のために戦って死ぬ。スウェーデンに帰っていたフェルゼンは、捕らえられたアントワネットを救出するため、フランスに潜入するが…。
歴史の激流にほんろうされるいくつかの愛が感動的に描かれていて、宝塚歌劇の名作の名に恥じない舞台になった。
和央ようかと花總まりは、スケールの大きさと凛とした美しさに加えて、世界のどの劇場に立ってもいいだけの風格をそなえてきた。その演技にも説得力がある。
彩輝直と水夏希には、感情表現のたしかさがあり、朝宮真由(ベルナール)と陵あきの(ロザリー)には、動きにのびやかさがあり、久遠麻耶(小公子)には、将来性のゆたかさがある。
「和央ようかのフェルゼンはね…」と言いかけたら、花より団子、宝塚より食事が好き、というQが口をはさんだ、「和・欧・洋・華の食える膳?」
小田島雄志@文京女子短大教授
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