||歌も楽器
平賀は東京出身。女性ジャズ歌手の大御所、マーサ三宅に師事してジャズの基本を学んだ。

就職したが、歌への思いがたちきれず、ライブハウスに出るようになった。
Maricaの芸名でデビュー後、2001年に心機一転のジャズ作品「My shining hour」を出し、本格的な活動を着実に行っている。
「とても美しい女性だというのが第一印象だ」とマシューズは、笑いながらいう。
「また心の美しい、温かい女性であり、すばらしい歌手であることも次第に分かった。そもそもすばらしい歌手だから、MJQとの共演に問題もないだろうと考えたわけだ」
実はMJQが歌手と共演するのはこれが初めてになる。が、マシューズにこだわりはない。
「人間の声も楽器のひとつ。私は(編曲家として)楽器の扱いは慣れている。また、編曲家としては何百人もの歌手の録音の編曲を手がけてきているから不安などはなかった」
一方、平賀は「がけぷちに立たされたような緊張感があった」と振り返る。
「ただ、私も『歌も楽器である』という感覚を諸先輩方から教えられました。歌手も楽器とコラボレートしなくてはいけないのだと」
歌も楽器のひとつ。よく聞く表現だが、具体的にはどういうことなのか。
「演奏家と“サウンド”するということ。たとえばビブラートを強くつけると管楽器とハーモニーができないとか。女性歌手は若さや色っぽさでちやほやされる時期もありますが、私はひとりの演奏家として活動したい。そうでなければ長続きしない。演奏家としてやっていくには、自分の歌を楽器として磨かなくては」