月組 遼河はるひ:タカラジェンヌ 夢の軌跡
(2)日舞の鍛錬が栄える日本物
1月12日(金) 大阪夕刊 by 平松澄子

日舞を4歳から習っていて、宝塚音楽学校時代に名取(西川栄綾)になった。「私が3歳の時に亡くなったおばあちゃんが習わせたかったそうで、遺言みたいな感じでお稽古(けいこ)するようになったんです」という。
長く続けた鍛錬が生きた舞台が、初めて主演した平成15年の宝塚バウ・ワークショップ「春ふたたび」の藤原道忠役。幼いころに別れた親子の情愛を落ち着いた演技で見せ、烏帽子(えぼし)に直垂(ひたたれ)姿が長身(174センチ)によく似合って目を見張る美しさだった。「それまではコミカル担当か悪党か両極端の役が多く、きれいな姿は初めてだったんです。やっぱり日本物っていいなぁ、好きだって思いました」
もっとも、宙組時代は日本物の公演がほとんどなく、宝塚大劇場では同年「
白昼の稲妻」の劇団員ジャン、16年「
ファントム」のオペラ座の団員リシャール、大阪のシアター・ドラマシティ公演「BOXMAN」のリロイ役などを演じて、しだいに存在感を増してゆく。
そして同年のバウホール公演「THE LAST PARTY」では、文豪ヘミングウェー役を堂々とした演技で好演。評価を高めた。「実在の人物なので、資料をいっぱい調べたんです。主人公の作家フィッツジェラルドの繊細さとの対比を出す役だったので、図太(ずぶと)さ、豪快さを表現しようと思ってやりました」
外見の大きさもあって、物おじしないおおらかな性格に思えるが、じつは子供のころから引っ込み思案なんだとか。「人前ではあいさつするのも恥ずかしいのに、家の中では歌ったり、踊ったりするのが大好きな内弁慶だったんです。まぁ、それが短所であり長所でもあるけれど、舞台に立つ仕事をしている以上、メンタル的にもっと強くならなきゃと思いますね。それが課題です」と自覚している。
17年は大劇場「
ホテル ステラマリス」で料理長のダニエルを個性的に演じたあと、「私にとって一番大きな出来事」というバウ公演「Le Petit Jardin」に主演する。
2007年の遼河はるひの記事
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遼河はるひ(1):タカラジェンヌ 夢の軌跡
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