星組トップスター 安蘭けいに聞く[1]
客席の心をとらえてキャッチボール
2008/1/1
SANKEI EXPRESS
宝塚歌劇・星組のトップ男役として、2日から東京宝塚劇場の舞台に立つ。

「稽古(けいこ)があったり、公演直前だったりして、ここ2、3年はお正月に実家に帰る時間もなくて。本当はもっと、クリスマスにお正月、年末年始気分を味わいたいけれど」と、お茶目に笑ってみせた。
正月公演は、青池保子(あおいけ・やすこ)の人気少女漫画を原作に、映画「ゲド戦記」の音楽で知られる寺嶋民哉(てらしま・たみや)が楽曲提供した「エル・アルコン−鷹−」(斎藤吉正脚本・演出)と、タンゴを取り入れたダンスシーンが見もののショー「レビュー・オルキス−蘭の星−」(草野旦作・演出)の2本立て。
「エル・アルコン」では、16世紀後半、大航海時代のヨーロッパを舞台に、7つの海を征服する野望のため人殺しすら厭(いと)わないイギリス海軍士官という、宝塚らしからぬ悪のヒーローに扮(ふん)する。
「お客さまに憎まれるくらいがおもしろい、と追求してきた悪の美学を深め、東京ではワンランクアップした悪を演じたい」と、昨秋の宝塚大劇場公演でも好評だった役のさらなる“極悪化”を目指す。
一方で、主人公である以上、観客が共感できる人間的な側面の表現にも腐心。「自分自身、演じていて共感するのは、一つのことに向かって突っ走ることのできる主人公の純粋さと強さ。スペインの無敵艦隊が登場したり、立ち回りも多い冒険活劇なので、男性にも楽しんでいただける作品だと思います」
悪役を演じても共感を誘い、夢多き宝塚の舞台の主人公として成立させてしまう演技力には定評がある。
2003(平成15)年には、演劇や舞踊などの芸能人を対象にした松尾芸能賞新人賞を、宝塚の現役スターとして初めて受賞。オペラ「アイーダ」をもとにした「
王家に捧ぐ歌」で、過酷な運命に翻弄(ほんろう)される気高いエチオピア王女、アイーダなどを好演し、評価された。
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