星組トップスター　安蘭けいに聞く［2］

客席の心をとらえてキャッチボール

2008/1/1 　SANKEI EXPRESS

今回のショー作品「レビュー・オルキス」では、コメディー・センスも発揮。悪役から一転、ヨボヨボのおじいちゃん姿で登場し、日替わりのアドリブで客席を沸かせ、劇場の空気をつかむ。華奢（きゃしゃ）な身体と素顔からは想像もできない大胆さとエネルギーで、あらゆる役に命を吹き込み、大劇場に集う２０００人の観客の心をとらえる。

「『熱気があるな』『今ちょっと引いてるかも』とか、客席の空気はすごく感じる。客席とのキャッチボールが楽しいし、客席と一体になる瞬間が好き」というだけあって、稽古場（けいこば）と舞台で、できる演技が全く違うと自己分析。「人がいないところで芝居しても楽しくないというか、劇場空間がないとうまく芝居ができない自分は、とことん舞台人だなと思って。表現していることが客席に伝わったという手応えを感じられる瞬間が、一番幸せですね」

　 総勢８８人の組のメンバーを率いる立場になったが、「気分転換下手、リラックスするのが下手で、いつでもどこでも役のことを考えていたり、軽く職業病かも」と苦笑する。

正月公演後も、スタンダールの文芸作品「赤と黒」（３〜４月、大阪・東京・名古屋）、ブロードウェーミュージカルの日本初演「スカーレット・ピンパーネル」（６〜１０月、宝塚・東京）の舞台が控える。

「自分のやっている舞台が、お客さまに喜んでもらえたり、評価をいただけたり、さまざまなことを感じてもらえる。それが、いつまでも変わらない夢かな」。舞台人として、目指すものはずっと変わらない。（文：評論家　藤本真由／撮影：前川純一郎／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

■あらん・けい　１９９１（平成３）年、宝塚歌劇団に首席で入団。月組公演「ベルサイユのばら」で初舞台を踏み、雪組に配属。２０００年、星組に組替えとなり、０２年の中国公演、０５年の韓国公演など海外公演にも参加。０３年には「雨に唄えば」「王家に捧ぐ歌」の２作で、松尾芸能賞新人賞を受賞。０６年１１月、星組トップ男役に就任した。

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