宝塚歌劇団星組の東京公演が14日、東京・日比谷の東京宝塚劇場で始まった。「ミュージカル・ロマン『ガラスの風景』」「レビュー・アラベスク『バビロン−浮遊する摩天楼−』」の2本立て。3月23日まで。
トップスター、香寿たつきは、この東京公演を最後に退団する。ほかにも、娘役トップの渚あき、夢輝のあ、朝澄けい、秋園美緒、鳴海じゅん、毬丘智美、高宮千夏が同時に退団する。
初日の14日午前、通しけいこが行われ、その後、劇場内で香寿が記者会見を行った。
●会見の一問一答は以下のとおり
香寿 いよいよ退団が近づきましたが、思い残すことなどなく、幸せな気持ちでいっぱいです。私は5回、組替えがありましたが、それも次へのステップ、いい経験になったと思っています。だからこそ、今の私がいるんだと
−−「ガラスの風景」「バビロン」ともに「別れ」がテーマですが
香寿 実は宝塚大劇場での初日では、お芝居の最後の場面で泣いてしまって。以来、泣かないように自分なりにいろいろとシミュレーションをして、千秋楽まで泣かないように備えました。これが最後の作品だと思っても私的感情は入れずに臨みたいです。
−−どのように演じようと考えていますか?
香寿 「ガラスの風景」は殺人事件もあれば、恋愛もあり、さらに主人公が過去を背負っている。複雑な構成の中で、どこまで(主人公の)バクスターとローラ(渚あき)の恋愛を表現できるか。今まででいちばん難しいことを要求されています。バクスターという人物像が伝わるように意識しているのですが、とても難しいです。
−−「バビロン」のほうは?
香寿 これはふつうのショーとは違っていますね。ストーリーがありそうにみえて実はなく、輪廻転生がテーマになっている。廃墟の街から摩天楼にいく場面は、古代から現代に生まれ変わって、そこでめぐり会い、さらにサヨナラ。これって、宝塚はひとりのスターが去っても、また新しいスターが生まれる。そのことと重なるなと思っています。
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劇場内で会見したタータン |
−−東京公演への意気込みは?
香寿 サヨナラを意識しているのか、さらに相手役に愛情を注ぎたいなと思っています。
●ENAK
FEELS
「ガラスの風景」は大人の芝居だ。その意味では香寿&渚ならではだろうな−−というのが、ENAKの第一印象。殺人事件の犯人探しを縦軸にタータンのすっきりとした二枚目ぶりと、だけどそれだけではない「過去」にさいなまれる苦悩が物語に深い陰影を与える。
「バビロン」は、組子全員が舞台全体をダイナミックに使って場面を作る。ENAKは退団するタータンを懸命にカメラでおいかけたのだけど、そうするとこのショーのダイナミックさを堪能できないので困ってしまった。ただ、ダイナミックなのだけど、とても繊細で、色彩的にも派手なはずなのだけど、抑制がきいていると感じた。だから、これも大人の味わい。
会見での質問にもあったが、両作品とも「別れ」が主題。歌詞にも注意深く耳を傾けたい。タータンからのメッセージに聞こえる。
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