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「掛け取り」とメリークリスマス |
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もう師走です。こないだ寄席でお客さんから「ねえ、師匠、ふだんは暇な落語家の師匠でも暮れは忙しく走り回るから師走っていうんだって?」なんて失礼な。
12月の寄席はとてもにぎやか。高座での聞きものは借金取り撃退噺「掛け取り」。熊さん夫婦が家賃をとりにくる大家からどのように逃れるか。死んだふりをしようと思いつく。大家さんがきてみると棺おけの横で女房が泣いている。夕べ熊さんが死んだという。大家さんも本気になって気の毒に思い、香典を出すと女房が断る。押し問答をしていると棺おけから熊さんの手が出て「せっかくだからもらっておけ!!」。大家さんがびっくりして逃げ出した。こんなことがまかりとおっていたころは実に楽しい。
寄席から一歩、街へ出るとクリスマスツリーがきれいで、いたるところでジングルベル…と聞こえてくる。もう浮き浮きしてくる。
このビング・クロスビーのアルバム「ホワイト・クリスマス」は、名盤といっていい。ビングは最高のエンタテイナーで、わが落語界でいう志ん生、文楽と同じ。歌のテクニック抜群で明るい声のビングの「ホワイト・クリスマス」は美しい口笛も感動的。ダニー・ケイ主演の同名映画をふと思い出す。とくに楽しくなるのは、「サンタが街にやってくる」でアンドリュー・シスターズの掛け合いが見事。「メレ・カリキマカ」はハワイのクリスマスソングで、いい曲です。
いつだったか、あるクリスマスパーティーでビングの「きよしこの夜」を聴いていたら、だりかが「師匠もこれを聴いて心がきれいになりましたか」と。でも、クリスマスパーティーは楽しい。懐具合がいいともっと楽しい…。
師匠は、東京・浅草演芸ホールは初席(来年元日〜1月10日)夜の部に出演予定です。詳細は同ホールのサイトで |
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