TOTO「TOTO IV 聖なる剣」
新宿末広亭とTOTO
ひどいだじゃれを聴くときほどつらいことはない。寄席に行こうとしている「寄席に行くのはヨセ」。実に耐え難い。

落語家の道場といわれる寄席も都内には数件しかない。私がいちばん好きな新宿末広亭は明治30年の創業。昔どおりの桟敷席が残っていて、表には提灯と出演者名が墨黒々と書かれた看板。多くの落語家を育ててくれた、寄席の老舗です。
御席亭・北村さんの口癖は「今はセコでも、いずれは大看板になってうちの寄席を大イリにしてくれるだろう」。若手に優しい席主さんです。
新宿という場所柄、寄席の近くにジャズやロックを聴かせる店があって、高座が終わると、DJのおしゃべりを聴きたくて、そんな店に足を運んだものです。
たしか1980年代のはじめごろ、TOTOという妙な名前のロックバンドの「ロザーナ」という曲をよく聴きました。トイレで目にする陶器メーカーと同じ名前なので、なんだか笑っちゃいました。
このTOTOは、ロサンゼルスの腕達者な若者たちで作られたロックバンドだったのです。82年にはアルバム「TOTO IV 聖なる剣」が大ヒット。このアルバムに入っている「ロザーナ」「アフリカ」をロックのDJ店で聴いたのでした。そしてグラミー賞を7部門ももらっちゃったんです。
当時TOTOにはポーカロ3兄弟、ジェフ、スティーブ、マイクが在籍していた。大御所、古今亭志ん生師匠の息子で金原亭馬生、古今亭志ん朝兄弟のようなもんですね。
新宿は落語をはじめ、ジャズやロックで青春を過ごした街です。21日から新宿末広亭の夜の部に出演します(30日まで)。ぜひきてください。
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