花組「あさきゆめみしII」梅田芸術劇場公演評
ひとときの不思議な幻想絵巻
by 平松澄子
時空を超えた和洋折衷の「源氏物語」絵巻−。花組による宝塚歌劇の大阪・梅田芸術劇場メインホールの公演「あさきゆめみしII」(草野旦脚本・演出)は、基にした大和和紀の少女漫画以上に、「源氏物語」誕生千年紀を来年迎える原作者、紫式部も驚く、“跳んだ”作品となった。
時を支配する“刻の霊”(真飛聖)が操る、美貌(びぼう)と教養を兼ね備えた光源氏(春野寿美礼)の生涯。宇宙空間の背景から階段が現れ、黄金の刻の霊と源氏が降りてくるプロローグにまず、びっくり。
義理の母にあたる藤壺(桜乃彩音)との罪深い愛をひきずりながら、紫の上(桜乃2役)、朧月夜、六条の御息所、明石の上、女三の宮…と愛の遍歴を重ねる源氏。愛の執念、裏切り、因果応報に苦しむ源氏の求めた愛は、つかの間の“あさき夢”だったのか…。
金髪、銀髪の精霊たちに、茶髪の頭の中将(壮一帆)や柏木ら、いっぷう変わったビジュアルの登場人物たちが、刻の霊の説明に沿って、ほとんど歌と踊りで物語が進行する。

そして再び、“宇宙の階段”に消えた源氏が、純白の天上界で紫の上と永遠の愛を奏でるラストへ。さらにフィナーレは、エンビ服をアレンジした衣装の洋舞へと一転する。
退団を発表した春野は、公家姿が決まって憂いを帯びた美しさ。相手役の桜乃も和風美人で歌に芝居に成長著しい。ドラマ性は希薄だが、ひとときの不思議な幻想絵巻に浸れる。
23日まで。
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