春風亭栄枝の洋楽de一席
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春風亭栄枝の洋楽で一席
「かつぎや」とジャニス・イアン
「スーヴェニアーズ~ベスト・オブ・ジャニス・イアン 1972−1981」戌(いぬ)年のことし、かわいいワンちゃんを描いた年賀状が多かった。

そこで私も高座から犬の小咄(こばなし)を。

「うちの犬はとても利口ですよ。川に落ちた子供を助けたんですから」
「で、その子供はどうして川に落ちたの?」
「うちの犬が追っかけたから」

これはバカ受けでした。

そしてことしの寄席も大入り。お客がたくさん入ることを「化ける」といいます。業界用語。なので、縁起を担いでキツネやタヌキの噺もします。

正月しかできないのが「かつぎや」という縁起を担ぐのが大好きな大店の主人の噺。

このかつぎやの五兵衛さん。お正月は小僧さんまでそろってお雑煮を食べながらのお祝いの席をもうける。おめでたいことをいった奉公人にはお年玉を出す。

「だんなさまおめでとうございます。いま、お雑煮を食べていたらくぎが出てきまして、こんなにおめでたいことはありません。おもちから金(カネ)が出まして、これからこのお店はますます“カネモチ”になります」

だんなは大喜び。

「ねえ、番頭さん、あなたは短歌を詠むのが得意だ。なにかおめでたい歌でもできましたか?」
「はい、こういうのはどうですか? この家を 七福神が取り巻いて…」
「下の句は?」
「貧乏神の出どころはなし(貧乏神が店の外に出て行けない)…」

この寒い季節に聴くのにぴったりなのがジャニス・イアンの「スーヴェニアーズ~ベスト・オブ・ジャニス・イアン 1972−1981」。暖かい部屋でひとりで聴くと、ジャニスが直接語りかけてくれている気分に。大人の歌である。「冬の部屋」という歌がいい。

ロバータ・フラックもカバーた「我が心のジェシー」やテレビドラマに使われてヒットした「ラブ・イズ・ブラインド」などは名人の人情話を聴く思い。

しかしなんといっても少女の気持ちを切々と歌う「17歳の頃」が私は大好きです。これもドラマでヒットした「ウィル・ユー・ダンス」が入ったこのベスト盤はジャニスのおいしいところがいっぱい詰まっている。

冬はジャニスに限る。



春風亭栄枝師匠は第58回南大塚ホール落語会に出演します。2月16日(木)午後6時半から東京・南大塚ホールで。

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profile
しゅんぷうてい・えいし
落語家

東京都豊島区出身。
昭和32年3月 京華高等学校卒業
昭和32年10月 8代目春風亭柳枝に入門
昭和34年12月 同師匠没後8代目林家正蔵に移門「林家枝二」
昭和35年8月 二つ目昇進
昭和48年3月 真打ち昇進
昭和57年1月 師匠彦六(正蔵改め)死去
昭和58年7月 7代目春風亭栄枝を襲名

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