【ロサンゼルス=松尾理也】米最大の映画の祭典、第79回アカデミー賞の発表・授賞式が25日午後5時半(日本時間26日午前10時半)から、ハリウッドのコダック・シアターで行われた。助演女優賞にノミネートされていた「バベル」(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)の菊地凛子さんは、惜しくも受賞を逃した。第二次世界大戦を日本側の視点から描き、作品賞、監督賞など複数部門にノミネートされている「
硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)は、まず音響編集賞を受賞した。
助演女優賞は、女性コーラス・グループの成功を描いた「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソンさんに輝いた。
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コダック・シアターで開かれるアカデミー賞授賞式会場に到着した菊地凛子さん=25日、米ロサンゼルス(AP) |
助演女優賞を受賞すれば、日本人としてナンシー梅木さん以来49年ぶりだった菊地さんは、授賞式に先立ち、ロサンゼルス市内の滞在先のホテルで会見。「2年にわたって『バベル』にかかわってきて、これが卒業だと思うとさみしくもあり、また今後の新しい自分に期待もしている」と、リラックスした様子で話していた。
長編ドキュメンタリー賞には、アル・ゴア元副大統領が地球温暖化について語る「不都合な真実」(デイビス・グッゲンハイム監督)が選出され、壇上に上ったゴア氏は「地球温暖化は政治問題ではなく、倫理の問題なのだ」と訴え、喜びを表した。
助演男優賞は、「リトル・ミス・サンシャイン」のアラン・アーキン氏が、長編アニメ賞は、ペンギンを主人公にした「ハッピー・フィート」が獲得した。
「硫黄島からの手紙」の脚本を執筆し、脚本賞にノミネートされていた日系のアイリス・ヤマシタ氏の受賞はならなかった。日本人でメーキャップ賞候補に挙がっていた「もしも昨日が選べたら」の辻一弘さんも受賞を逃した。
アカデミー賞は前年の映画が対象で、関係者でつくる映画芸術科学アカデミーの会員の投票で選ばれる。
受賞作、受賞者は次の通り
▽作品賞=「
ディパーテッド」
▽監督賞=マーティン・スコセッシ(ディパーテッド)
▽主演男優賞=
フォレスト・ウィテカー(ラストキング・オブ・スコットランド)
▽主演女優賞=
ヘレン・ミレン(クィーン)
▽助演男優賞=アラン・アーキン(リトル・ミス・サンシャイン)
▽助演女優賞=ジェニファー・ハドソン(
ドリームガールズ)
▽長編アニメ賞=「ハッピー フィート」
▽外国語映画賞=「
善き人のためのソナタ」(ドイツ)
▽長編ドキュメンタリー賞=「
不都合な真実」
▽脚本賞=「リトル・ミス・サンシャイン」
▽脚色賞=「ディパーテッド」
▽作曲賞=「バベル」
▽音響編集賞=「硫黄島からの手紙」(敬称略)