ベスト・オブ・レイ・チャールズ:ザ・アトランティック・イヤーズ
桂文楽とレイ・チャールズ
楽屋あったサンケイスポーツ紙に「ゴッド姐ちゃんこと和田アキ子が、ニューヨークのアポロシアターでうたう」という記事をみつけた。彼女が神様と敬うレイ・チャールズはじめ多くの黒人アーティストが出演したハーレムにあるブラックミュージックの殿堂に出演するのである。
その神様レイ・チャールズが、ロスのビバリーヒルズの自宅で肝不全で73歳の生涯を終えたのが2004年6月。葬儀でウィリー・ネルソンが泣き崩れていた。レイは5歳ごろから緑内障で失明してしまったという。
若いころは、当時人気のあったナット・キング・コールのコピーなどで認められた。
手元にあるアルバム「ベスト・オブ・レイ・チャールズ:ザ・アトランティック・イヤーズ」には大ヒット曲「ホワッド・アイ・セイ」「アイ・ガット・ア・ウーマン」は当然入っている。
どんな曲もレイにうたわせると名曲になってしまうから不思議である。ソウルフルな歌と人間性は白人黒人問わず、多くの人を魅了している。
アッコ姐ちゃんにとってレイが神様なら、私ども落語家の神様は黒門町の師匠、桂文楽でしょう。その得意ネタのひとつ「景清」。彫刻師の定次郎は、腕がいいので金が入る。それをいいことに酒と女に身を滅ぼし、やがて失明をしてしまう。その定次郎が観音様に願をかけるという噺の名演も、いまは懐かしい。
文楽師匠は高座に上がる前にハンカチに扇子で見立てた筆で「人」と書き、口に当てた。「人をのむ」という意味である。お客に負けずに高座にあがる。そしてお客さんから「黒門町!」声がかかる。
アッコ姐ちゃんのアポロシアターの舞台まで押しかけていって「待ってました。和製レイ・チャールズ。『愛さずにはいられない』をうたって」と声をかけたい。
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