ようこそ劇場へ
東京宝塚劇場支配人 小川甲子さんインタビュー(1)

 01/12/10 産経新聞東京夕刊
 Text By TAKUBO,Oko/田窪桜子@東京文化部


今年1月に開場して間もなく1年を迎えようとしている東京宝塚劇場。笑顔で観客を迎えてくれる背筋のすーっと伸びた女性が同劇場初の女性支配人、小川甲子さんだ。かつて宝塚歌劇団のトップスター・甲にしきとして活躍。さらに女優を経て、萬屋錦之介さんの妻になり引退と、いくつもの人生を歩んできた小川さんが、次の人生のステージに選んだのがこの劇場だった

[1]意外と合っている支配人

−−支配人になられたきっかけは?

錦之介が亡くなり、これからどうしようかと考えていたとき、阪急電鉄の小林公平会長に偶然、お会いしたんです。久しぶりにお話ししていたら、「甲ちゃん、できることがあれば力になるからね」とおっしゃってくださって。その帰り、車を運転していて思いついたんです。

−−突然にひらめいた?

それまで、タカラヅカのタの字も考えていなかったんですけどね。女優はもう十分やらしていただいたから、やりたいとは思わなかったし。その日の夜にご自宅にお電話して、「会長、今度いつ東京にきはるんですか? 5分だけお会いできませんか」とお願いしたんです。お会いしたら「怖いなぁ!」って。そこで私が「新しい劇場の支配人がしたい!」って言ったんですね。

−−いきなりですね

公平会長は「でもね、君。支配人にしても、みんなずっと年下だよ。それでもいいの?」って。「構いません。初めての仕事ですから」とお返事しました。支配人だろうと何であろうと、そういう劇場の仕事をしたかったんです。

−−それを受け入れたのも、大変な決断ですね

そりゃ、大変だったと思いますね。突然、ウン10歳の会社勤めもしたことがないオバサンが言い出したのですから。

意外と合ってると思うな(笑い)。私がこうやって表に出るような宣伝も、今までになかった一つの方法だしね。入った以上はね、私にしかできないこともあるかなと。そこを、私なりに考えてやっていけば、それなりに広がっていくのではないかなと考えています。

−−具体的には

営業回りもするし、スポンサーさんとのお付き合いも、お客さま探しもします。歌劇団の編成委員もさせていただいていますしね。まだ、実にはなっていないかもしれませんが、歌劇団へ、何かしらの橋渡しができたらと思います。

−−ほかの人とは違うフィールドの人脈がありますからね

それがすべていいかどうかはわかりませんけど、私は何でも、してみることが大事だと思っているんです。「ダメもと」という気持ちで、アタックしてみる。まず当たって、砕けたらいいんです。




[1]意外と合っている支配人
[2]小さいころからスター
[3]「ほんと、歌では苦労しました」
[4]舞台の後にテレビ撮影
[5]宝塚って本当にあったかい
[6]どこまでも奥深い「芸の世界」
[7]家が大好きな夫・錦之介
[8]夢生む良さは変わらない

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