伊織直加のコレ、聴きま専科 最終回
連載終了にあたって
4月から東京版朝刊で月に1回連載した「伊織直加のコレ、聴きま専科」は26日付朝刊で終わり、来年からは「トップスター編」が始まります。
伊織さん−−「なおちゃん」の連載終了は、歌劇団が11月に発表した彼女の退団とは無関係で、編集局文化部は当初から年内いっぱいで終了する方針だったことを、念のためにここに書いておきます。
なお、連載のテーマが音楽だからという理由で、取材は文化部の宝塚担当記者ではなく、元文化部音楽担当記者だった私が担当しました。
なおちゃんはタカラジェンヌとして以前に人としてきちんとした方だったので、月にいちどのインタビューはとても楽しいものでした。振り返れば、連載の期間は外部出演(宝塚歌劇団以外の舞台に出演すること)という、慣れない仕事、しかも男役が女性の役に取り組むという、かなりしんどかったと推測される時期と重なっていたはずなのですが、なおちゃんは常にきちんとCDを聴き、荷物になることもいとわず、毎回、取材の現場にたくさんのCDを持参。読者に伝えるにはどの作品がよいかを、ぎりぎりまで吟味したのでした。
あたりさわりのない感想をしゃべられて、それをまとめる作業になるのだろうな。タカラジェンヌ取材の経験のない僕は事前に、そんな予想をしていたのですが、まったく違ったわけです。タカラジェンヌだから、ではなく、伊織直加という人格ゆえの、うれしい結果だったはずです。
ENAKの「SUMiRE STYLE」はトップスター至上主義を厳しく貫くことを原則としていますので、トップスター以外は、通常紙面に載った以外の記事、写真などは掲載しない方針ですが、この9カ月、なおちゃんがCDを聴くためにさいた時間の分だけ例外とさせていただきます。
「コレ、聴きま専科」で推薦したCDを実際に購入したかたは、お気に入りの曲と出合われたでしょうか? もしも、幸せな出合いがあったかたは、なおちゃんの「私と一緒にこれからも音楽を愛してください」という言葉にしたがって、大切に聴いてください。音楽は記憶を封じ込めるタイムマシンです。その音楽を記憶に焼きつけることができたなら、いついかなるときも大切な思い出は音楽とともに鮮明によみがえります。
石井健@ENAK編集部
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