「代脈」とTOTO
五月病とかいうのがあるそうですね。新しい職場になじめず、ストレスで体調不良に陥るころが、この5月ごろ。
でも、そんなとき、お医者さんなんかに診てもらうより落語を聴いて笑うのがいちばん。

つい先ごろしゃれた歯医者さんと出会いました。歯痛で診てもらったのですが、私の歯を見て「師匠の歯は奈良や京都と同じですね」「…? 先生どうして?」と尋ねると「だってあなたの歯は歯石(史跡)でいっぱいですよ」だって。笑っちゃった。
落語に出てくるお医者さんは名医より迷医。つまり藪(やぶ)井先生。
昔のお医者さんの大好きな言葉は手遅れ。患者さんを診てすぐ「手遅れ」と言ってしまえば、それでいい。大けがした男が藪井先生のところに担ぎ込まれてきた。
「先生、この男が屋根から落ちたんで診てください」「屋根から落ちた? 手遅れだ」「手遅れですか?」「そうだ。落ちる前にくればよかった」
これはおなじみの「代脈」という、先生から代診に行くようにいわれたヘッポコ医者の話のマクラ。
うら若き娘さんを診るために往診に出かけたヘッポコ先生。下腹をさすってオナラなどしても聞こえないふりをして、娘さんに恥をかかせないように、とくぎを刺されて患者宅へ。ついに下腹をさすっているとオナラがプーっと。
「お嬢さん…。私は若いのに耳が遠くて、今のオナラも聞こえませんよ」
こんな笑い話やロックンロールを聴いて、職場のモヤモヤなんか忘れちゃいましょう。
5月には米ロックバンド、TOTOが来日したんです。「TOTO IV 聖なる剣」は、1980年代のビートルズとまで称された彼らの代表アルバム。
ロサンゼルスにシュライン・オーディトリアムというグラミー賞の会場があります。私もいちど行ったことがあります。余談ながらこの会場の運営者夫人が女優のジェニファー・ジョーンズ。
さて、1983年2月、第25回グラミー賞の授賞式。ホストはジョン・デンバー。ここでなんとTOTOは7部門も受賞した。
そのころラジオから聞こえてきたのは、このアルバムにも収録されている「ロザーナ」。スティーブ・ルカサー(ギター)のガールフレンドで女優の名前だそうだ。
このヒット曲で、彼女の名前が世界中に知れ渡っちゃったのだ。
落語にも似たようなことがあります。先輩の橘家円蔵さんなんか高座から噺に織り込んで「セツ子、セツ子」と恋女房の名前を叫ぶものだから、セツ子ブームになったことがあった。
閑話休題。
TOTOは「アフリカ」もいい曲です。風かおる5月。このアルバムから元気をもらって、五月病なんか吹っ飛ばせ!!
栄枝師匠が出演します
八代目 林家正蔵改め林家彦六 生誕111年記念 落語会
日時:5月24日(水)午後5時半開場 同6時開演
会場:
横浜にぎわい座芸能ホール
料金:前売り=3,500円 当日=3,800円(全席指定)
出演はほかに林家木久蔵、鏡味仙三郎、林家正楽、はやし家林蔵ら