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姿月あさと インタビュー
(6)楽しい気持ちで卒業したい
5月26日(土)大阪夕刊  by 飯塚友子 
−−「新しい組を作るから君トップ、やってくれ」って打診は、どういう風に持ちかけられたんですか
姿月あさと 今の言葉、そのまんまですよ(笑)。

新生宙組のトップスターと決まり、香港公演の稽古に励む=平成9年12月
新生宙組のトップスターと決まり、香港公演の稽古に励む=平成9年12月
−−ビックリしますよね
姿月 新しい組って言われたってピンと来ないし、自分よりも上級生の方も現実、いっぱいいらっしゃったし。「自分はまだまだ勉強したいし、色んなことができてないし、ふさわしくないと思います」って言いました。

−−最初に打診してきたのは誰ですか
姿月 植田(紳爾・現宝塚歌劇団理事)先生。

−−断ったとき、植田先生どんな反応されてました
姿月 ずーっとしゃべってましたけれど、自分が聞く耳持ってなかったので。

−−説得されるでしょう。「そんなこと言わずに」って
姿月 でも人ごとのように聞いていたから、あんまり覚えてないです。「自分は結構です」みたいな感じ。

−−植田先生も困られたでしょうねぇ(笑)。その後も、折あるごとに「考え直せ」って言われたでしょ
姿月 個別に何回も呼び出されて、それも植田先生からだけじゃなくて。ただ、先生方も、みなさんが(トップ打診を)ご存じではなかったし、自分も人に言えないし、そこでまたノイローゼですよ。ホントに親にも、誰にも言わなかったです。心が閉ざされていきますよね。その時に何度も辞めようと思ったし、「辞めます」っていうのも言ったけれども、結局、好きで入った宝塚を嫌で辞めるとか、逃げて辞めるっていうのは嫌だったんですね。

−−結局トップを受ける決断をされたのは、それから1年後くらいですか
姿月 うん。それはある意味、舞台に立つっていうことでありながら、自分の意識の問題です。自分がトップをできるか分からないし、トップになってお客さんが入らなくても、何の責任も取れない。ただこれから何があるか分からないけれども、今まで自分が頂いた役に対してやってきた努力は、変わらずやろうかなって。私はいつの日か宝塚を辞めるわけだから、その時には「楽しかったな」と思って辞めたい。最後に嫌で辞めるのと、楽しく卒業するっていうことの意味合いを考えたんです。

−−心の整理ができて、トップを受けられる状況になったんですね
姿月 自分の中の整理ですね。宝塚を楽しく卒業するために、整理したってことです。だからトップになったときから、辞めることを頭に入れながらやってましたね。

−−そこからは吹っ切れましたか
姿月 そうですね。自分の目的は「ちゃんと舞台に立ちたい」っていうことだったので、その意識は下級生の時と、トップになってからと、何も変わらなかったかな。

−−新生・宙組の実質的なお披露目が、香港での海外公演と華やかでしたね
姿月 今まである組に行ってトップになるのではなく、全員が色々な所から来て「こんにちは」からのスタートだったから、変な重荷はなかったです。みんなが不安だったり、お互いを分からない中、「一から作った」っていう意識は一緒だったし。

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記事関連情報
しづき・あさと 昭和45年、大阪市生まれ。市立淀川中学卒業後、宝塚音楽学校に入学。65年ぶりに誕生した新組「宙組」トップスターとしてミュージカル「エリザベート」などに主演。平成12年退団後、ヴォーカリストとしてフル・オーケストラと競演するなど幅広く活躍。

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