産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
姿月あさと インタビュー
(8)「人間」という楽器を心で鳴らす
5月29日(火)大阪夕刊  by 飯塚友子 
−−本格的な歌の勉強をしようと、退団後は新たなレッスンなども始めたんですか
姿月あさと 男役の時って、歌も男のキーですから、ソプラノの声が出るように練習してました。

デビュー20周年コンサートを、服部克久さん(右から3人目)らそうそうたる作曲家が支えた=16日、大阪市のザ・シンフォニーホール
デビュー20周年コンサートを、服部克久さん(右から3人目)らそうそうたる作曲家が支えた=16日、大阪市のザ・シンフォニーホール
−−4オクターブの歌声といわれますものね。退団して音楽的に加わったものは他に何ですか
姿月 全部。バンド編成とか音楽の専門的なことって毎回、現場によって出会う人たち違いますし、音楽の世界はすごく広がってますよ。

−−作品の流れの中での歌と、1曲ごとの歌っていうのも違うでしょうね。さらにはオーケストラとの競演まで、歌の引き出しが増えたでしょう
姿月 お仕事の種類によって、引き出しはどんどん変わっていってますね。辞めてからの仕事っていうと、ジャズであったりクラシックであったり、(ミュージシャンの)石井竜也さんとご一緒したり、知識も出会いも増えました。

−−石井さんも、向こうから呼びかけがあったそうで。今回のデビュー20周年コンサートを企画した作曲家の三枝(成彰)さんも、姿月さんの歌に触発されたんでしょうね
姿月 音楽っていうお仕事で、「この人と何かやりたいな」とか、「この人にこういう曲を歌わせてみたいな」とか、思ってもらえるような基盤づくりですね。そういう求めがあったとき、そこからやり始めても間に合わないんで。

−−ヴォーカリストという肩書を使われて、歌へのこだわりを強く感じます。歌で表現するときに大切にされていることは何ですか
姿月 バイオリンやピアノって楽器じゃないですか、音が鳴る。だから私は「人間」という名前の楽器を鳴らすっていうことです。

−−楽器を鳴らすのは…
姿月 心でしょう。

−−歌詞については
姿月 歌詞の意味はすごく大事にしています。ただその前提として、人に何言ってるか聞こえないと意味がない。歌詞をどう伝えるかというよりも、何言ってるか分かるかというところですよね。

−−歌詞を語る、っていう感じですか
姿月 語るというか、振動に言葉を乗せて、空間に飛ばすっていう意識があるかな。

−−楽器になりきって音や歌詞を飛ばす
姿月 なりきるっていうのは無駄な労力で、楽器は楽器として存在していればいい。楽器は「楽器にならなきゃ」って、そんな力いらないじゃないですか。バイオリンを鳴らすのは弓でしょう。ピアノはたたかないと鳴らないし、ホルンは吹かないと鳴らない。そういう意味で、人間という楽器に対して、心で鳴らすということです。私の表現っていうのは。

−−人生経験で歌詞の表現も変わってきますよね
姿月 うん。声も変わってくると思うし。

−−(退団後続いた)海外暮らしも、表現の幅として歌に表れるでしょう
姿月 例えば「空」って歌詞があったとき、今までの人生で見た空と、外国で見た空は違ってますから、当然想像力も変わってきます。年を重ねることによって経験することも見るものも、どんどん増えるので、年取るほど歌の表現力が豊かになるって、こういうことなのかなぁってだんだん分かってきた。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | index


携帯版SUMiRE STYLE スミレモバイル登場




産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
Copyright(C)2007 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです
記事関連情報
しづき・あさと 昭和45年、大阪市生まれ。市立淀川中学卒業後、宝塚音楽学校に入学。65年ぶりに誕生した新組「宙組」トップスターとしてミュージカル「エリザベート」などに主演。平成12年退団後、ヴォーカリストとしてフル・オーケストラと競演するなど幅広く活躍。

携帯で読むSUMiRE STYLE