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「オール・ザ・ウェイ」
「後生鰻」とフランク・シナトラ
寄席の隠語で「子供」はジャリ。悪ガキはセコジャリ。私のジャリのころは、ラジオの落語番組ばかり聴いていました。

「国境の南」は現在廃盤。「オール・ザ・ウェイ」はベスト盤「マイ・ウェイ~ベスト・オブ・フランク・シナトラ」で聴けます
「国境の南」は現在廃盤。「オール・ザ・ウェイ」はベスト盤「マイ・ウェイ~ベスト・オブ・フランク・シナトラ」で聴けます
忘れられないほどおもしろかったのが、信心深いご隠居さんが出てくる「後生鰻」という噺。

寺や神社へのお参りの途中で殺生の場面に出遭うと、その生き物を買って助けるのを日課にしているご隠居さん。

ある日、ウナギ屋の前を通ると、主人がまな板の上でウナギを割こうとしている。ご隠居さん、ウナギを買って店の前の川へザブーンと逃がしてやる。ちょうどウナギが品切れになったあるとき、ご隠居がやってくる。慌てたウナギ屋、ウナギのかわりに、そばにいた赤ん坊をまな板に載せてしまう。びっくりしたご隠居さん、「何をしている? 赤ん坊を割いてかば焼きに? とんでもないことを」。この赤ん坊を買うと「もうこんな店に生まれてくるなよ」。言いながら、店の前の川にザブーン…。

この噺をラジオで聴いて落語に夢中になっちゃったのが、私のセコジャリのころ。当時娯楽はラジオぐらいでした。

そんな私が好きなラジオ番組に「いとしのオールディーズ」(NHKラジオ第一)があります。各界のゲストが音楽にまつわる話を披露するとても楽しい番組。

実は私が11月24日にゲストで呼ばれているのです。さっそく選曲をしました。大御所フランク・シナトラのアルバム「国境の南」に入っている「オール・ザ・ウェイ」。シナトラの主演映画「抱擁」で使われて大ヒットしました。

ナイトクラブの歌手からコメディアンになる役にシナトラがふんし、ラストシーンは「家族を笑わせることができずに客を笑わせられるかい」と、確か、こんなニクイせりふだったのを覚えています。

秋の夜長にびったりの「オール・ザ・ウェイ」は11月24日午後8時5分から、「いとしのオールディーズ」でかけますから、ぜひ聴いてください。

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profile
しゅんぷうてい・えいし
落語家

東京都豊島区出身。
昭和32年3月 京華高等学校卒業
昭和32年10月 8代目春風亭柳枝に入門
昭和34年12月 同師匠没後8代目林家正蔵に移門「林家枝二」
昭和35年8月 二つ目昇進
昭和48年3月 真打ち昇進
昭和57年1月 師匠彦六(正蔵改め)死去
昭和58年7月 7代目春風亭栄枝を襲名