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「ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム」
「和歌三神」とビーチ・ボーイズ
ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム テレビのニュースで北国の雪下ろし風景を見て、講談「吉良邸討ち入り」を思い出しちゃいました。

雪が降りしきる晩、吉良の屋敷に赤穂義士が討ち入ったのが元禄時代。時は元禄15年…と名調子で始まって…雪も軒端に降り積もる。雪の明かりが味方のたいまつ…パンパパン、パーンと張り扇での一席に大事なのが雪景色。

落語なら雪の噺は「和歌三神」です。

風流だけが取り柄の俳諧師が向島に雪見に出かけ、ここで、これもまた風流な3人のこじきに出会う。雪見をしながら句や歌を詠むという、いかにも向島らしいこじきである。

ひとりは、垣根の下で丸くなってひなたぼっこをしているので垣根の下の人丸。つまり飛鳥時代の歌人、柿本人麻呂。もうひとりは道ばたの馬のふんなどの掃除をし、いくらかお小遣いをもらうのでフン屋の安秀と呼ばれる。平安時代の歌人、文屋康秀のしゃれ。あとのひとりは、周りの家々から「ありあわせの食べるものでも」ともらって歩くので、ありあわせの業平。これは平安時代の歌人、在原業平だ。

俳諧師は感心して「あなたがたは和歌三神ですか?」と尋ねる。「いいえ、ばか3人」とだじゃれの落ち。

さて、雪の晩は大勢で賑やかなクリスマスパーティーもいいけれど、ひとりでしんみりとクリスマスソングを聴くのもまたよし。それならポップス史上に名を残すアルバム「ビーチ・ボーイズ・クリスマス・アルバム」が絶対にいい。星の数ほどあるクリスマスアルバムの中で「1年じゅう聴ける」といわれている。

聴きものは「リトル・セイント・ニック」。リーダーのブライアン・ウィルソンが軽やかに華やかにうたっている。またエルビス・プレスリーでおなじみの「ブルー・クリスマス」をブライアンが、ひたすら甘くうたっているのを聴くとジーンときちゃいます。

ビーチ・ボーイズはわが先輩、立川談志さんの歯切れのよさに通じる魅力があります。

このブライアン、自分の部屋に砂をしきつめてテントを張って暮らした、なんて天才ゆえの奇行のなのか。

ビーチ・ボーイズには日本語で歌う「想い出のスマハマ」なんて楽曲もありますが、夏も冬もいけます。

お知らせ 栄枝師匠が「第61回南大塚落語会」に出演します。12月21日午後6時半から東京・南大塚ホール。一般前売り900円。

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(1)「牡丹灯籠」とKiss
(2)「寿限無」とC.C.R
(3)お盆だしカントリーロード
(4)「目黒の秋刀魚」と「つづれおり」
(5)与太郎と「ミニット・バイ・ミニット」
(6)「甚五郎」と「青春の輝き」
(7)「掛け取り」とメリークリスマス
(8)「かつぎや」とジャニス・イアン
(9)「浮世根問」とシンディ・ローパー
(10)「長屋の花見」とベイ・シティ・ローラーズ
(11)「子ほめ」とビー・ジーズ
(12)「代脈」とTOTO
(13)「道灌」とペギー・リー
(14)「たがや」とエリック・クラプトン
(15)「化け物使い」とビリー・ジョエル
(16)古今亭志ん生とアイアン・メイデン
(17)「お見立て」とドナ・サマー
(18)「後生鰻」とフランク・シナトラ




profile
しゅんぷうてい・えいし
落語家

東京都豊島区出身。
昭和32年3月 京華高等学校卒業
昭和32年10月 8代目春風亭柳枝に入門
昭和34年12月 同師匠没後8代目林家正蔵に移門「林家枝二」
昭和35年8月 二つ目昇進
昭和48年3月 真打ち昇進
昭和57年1月 師匠彦六(正蔵改め)死去
昭和58年7月 7代目春風亭栄枝を襲名