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三島由紀夫「永すぎた春」
世俗に立ち向かう若さ
新潮文庫 ¥400(税込み)
T大学法学部の裕福な学生、宝部郁雄は大学近くの古本屋の娘、木田百子と婚約した。郁雄の卒業を待っての結婚までは1年3カ月。2人の意志は固いが、結婚がもたらすだろう幸福に一喜一憂し、許婚という“契約”がゆえに緊張をも欠く長い時間となった。

結婚を家同士の問題と見る風潮はいまでもある。何かにつけて世間体を盾にする郁雄の母が、2人の試練となる。そのエゴイズムは滑稽だが、郁雄と百子に焦燥はない。むしろ2人はいかに“永すぎる春”を相思相愛で過ごすかに懸命なのだ。

三島作品のなかでは断トツに読みやすい。現代女性だって出産、仕事など取り巻く現実が変わっただけで郁雄と百子と同じような憂うつはある。“春”は、郁雄に、より愛されることに気をもむ百子のように迎えたい。(R)

これまでに読んだ本
風の墓碑銘
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