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酒井順子「負け犬の遠吠え」
話せる女友達のひとりに
講談社 ¥600(税込)
言わずと知れたベストセラーの文庫化。「30代以上・未婚・子ナシ」の女性を著者自身も含めて“負け犬”と呼び、結婚に焦る女性の心理を鋭い観察力で描いてみせる。

10月中旬に文庫版として再び店頭に並んだが、1カ月たっても書店の“看板娘”の席を譲らずにいる。 単行本として始めて世に出たのは2003年秋。ブームに火がついたのは翌04年の夏以降だった。当時の私は三十路を迎えたばかり。同世代の独身の友人の中には「私は読まない!」と宣言をする人もいたほど、負け犬が私たちに与えた不安感は大きく、リアルだった。

当時、負け犬ではないと自負していた女性がいま、気分もブームも落ち着いたところで文庫版を手にし始めているのかもしれない。

私もその一人だが、いや、これが面白い。

単に勝ち負けで二分したり、優劣をつけるのではなく「不倫の無駄」や「少子化」「都市と地方の女性」「欧米と日本の男女づきあい」「オタク男子」…など負け犬の温床を指摘したり、その発生過程、弊害などを自虐的かつ分析的につづる。

「しないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」という負け犬が好む行動認識に対して、「しないで後悔しない」こともお忘れなく、と“勝ち犬”の勝因も指摘。勝ち犬とは主に専業主婦を指す。家庭を持ち、母親でもある。

人生は「選択の結果」の連続だ。相談相手の女友達がひとり増えた。この本のことはそんなふうに考えてみてはいかがだろう。(R)

これまでに読んだ本
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